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Theatrum Mundi


D3's Job Hunting (N=1)

D3就活事情(n=1) 2023年度から農研機構に所属を移しました。 パーマネント試験採用という枠で入りました。若手をパーマネントで採用して農研で育てよう、という枠で学部以上で受けられるとのこと。少し乱暴に言ってしまえば 「自分のしたい研究ややってきた研究分野ではない研究をやる可能性もあるが、パーマネントの研究職」 という感じです。 いつか酒の肴になるかもと思いD3時の就活の動きについてメモを残しておきます。 誰の参考になるかもわかりませんが、参考になろうという気持ちがなかったので…そこはすみません。 2022-03以前 いくつかの就活サイトを軽くリサーチ。少なくとも自分のこれまで培ってきたスキル(室内での進化生態学; 統計解析; プログラミング?)を活かせる職がいいなと思ってはいました。また、「それなりの給料」 or 「自分の興味に近いこと」のどちらかは望んでいました。 何社かピックアップ。 2022-04 前半は何をしていたか覚えていない…。多分年度変わって何かしらの業務が発生したのだと思う。 学振PDを受けることについて長いこと悩んでいたのですが、4月後半に受けることを決意。 判断が遅い! 受け入れ先候補の方は決めていて親身になって対応してくれたので、スムーズに話が進む。申請書もふんわり作っていたものがあったのでそれをブラッシュアップする作業開始。 2022-05 3月までにピックアップしていた一般企業のES申込の締切が過ぎていることに気づく。これは完全にただのミス。締切はカレンダーに書き込むようにしましょう。 気を取り直してPDの申請書提出。 ここだけは絶対受ける…と決めていた農研機構のパーマネント試験採用枠のESを忘れる前に出す。受験区分が色々あったが、生物が小区分で含まれていた農業で提出。農業か情報かのどちらかにしようかなと思っていた。 さて、ESを発見したので記しておきます。今読むと雑だな…。 私はこれまで研究材料としてヨツモンマメゾウムシという実験昆虫を用いてきました。この生物は植物防疫法で規制対象の貯穀害虫であり、非常に短期間で進化が起きることが知られています。害虫としてのポテンシャルが高いこの生物を用いて進化生態学の研究をしていくうちに、「進化生態学を用いて農業に還元できるのではないだろうか」と考え始めたことが農研機構への一番の志望動機になります。しかし、大学における実験室内での研究をもとに農業への還元を行うにあたっては、企業や農家との連携などのいくつか乗り越えなければならないハードルがあります。その点、企業や各地の農家への導線が既に整備されている農研機構であれば、研究の結果が還元されやすいのではないかと考えました。また、学部生時代に農研機構の短期雇用を行なっていたことがあります。その際、雇用していただいた方の居室に多くの研究者が訪れていたことから、機構内の研究室間の敷居が低く横のつながりが多くあるのだと感じました。この経験から、農研機構は研究者間の議論が難しくなりがちなコロナ禍においても、非常に優れた研究機構であると考えています。さらに、人材育成プログラムという存在が農研機構を志望する最後の後押しになりました。これまでの研究活動で養った知識や技能を活かして農研機構で研究を行うことで、日本の農業に対しての還元が可能と考え、志望させていただきました。 2022-06 ESに記載のメールアドレスを間違えていたり、ESの写真はちゃんとスーツのものを添付するらしいということを知らず(調べろ)提出していたことが判明。これは流石にやったかな〜と思いつつも上旬にある一次試験を受ける準備をする。 一次試験ではSCOAというSPIっぽい問題を解くことになります。1週間以上前から本を購入し少しずつ勉強した。直前3日くらい時間を割いたら割とサクサクと解けるようになり、その状態で一次試験当日を迎える。各地にある試験センターで受けるので試験をしているという感覚が全くなかった。 一次試験で落ちる人がいるかは知らないが、二次試験の連絡がきたので6月後半に二次試験(筆記+面接)を受ける。筆記の問題については何が出るかわからないということを聞いていたので何も準備せず向かった。 筆記試験始まる前によくよく周りを見たら公務員試験の問題集などを持っている人が多くてむむむ、となっていました。そうしたら農業関係の問題がたくさん出てきました…。でもこれ農業区分で受けていたので当たり前なんですよね。 大学の講義でもほとんど受けたことのない育種の話とかは無理なのでスルー。かろうじて動物制御という授業で聞いていた害虫防除周りと分子進化という授業で聞いていた系統周りに関してはちゃんと回答する。大学の授業を断片的にでも覚えていたのが功を奏しました。 あとは英単語の穴埋めと10年後どのような研究者になっていたいか、みたいなテーマでの作文。前者は論文で頻出の単語が多かったような記憶。elucidateとか。後者はPDで出した内容があったのでスラスラ書けた気がする。というか農業の問題の時の焦りが酷過ぎてそれ以外はむしろとても簡単に感じた。 翌日に面接。面接は大学院入試(修士)の時以来でした。前日のテストの結果がだいぶ終わっていると思っていたため、逆にかなり落ち着いて受けることができた。面接で一番ミスしたな、と思ったのは「志望動機を一言で。」と聞かれた時に「研究と応用が近いからです」と本当に一言で返したこと。「え?終わり?」と聞かれたので何とかカバーしました。 どこまで面接で聞かれたことを書くか迷ったので、もし聞きたい方がいたら個別に連絡ください。 2022-07 二次試験合格通知。三次試験の面接。 三次面接はZoomでやりました。白背景で安定したネットがあり周りの音が入らない場所、ということで、自室で立ってやりました(座ると他のものが写り込んでしまうため)。 こちらも何を聞かれたか知りたい方がもしいたら個別に連絡ください。


New Paper Is Out (2022/11/22)

論文紹介 論文が出ました! Title: Intraspecific variation of reproductive interference capability in Callosobruchus species Author: W. Mukaimine & Y. Toquenaga Journal: Evolutionary Ecology URL: https://link.springer.com/article/10.1007/s10682-022-10223-3 一文要約 マメゾウムシの多数の地理的系統を用いて繁殖干渉の個体レベルの競争係数(繁殖干渉能力)をオスとメスごとに計測し、繁殖干渉能力に種内差があることと同系統内の雌雄で相関しないことを明らかにしました。 概要 繁殖干渉は種間競争の一つと見なすことができますが、資源競争と異なり明らかになっていないことが多い現象でもあります。 明らかになっていることの一つに、個体レベルの繁殖干渉能力に対して集団の性淘汰が影響をもつことが知られています。 繁殖干渉とは直接関係しませんが、温度や性比などが異なる地理的に異なる集団では性淘汰の強度などが異なることも報告されています。 上の二つの先行研究からは地理的に異なる集団では繁殖干渉能力が異なることが予想されます。 そこで本研究では世界各地で採集されてきたマメゾウムシ類 Callosobruchus maculatus と C. chinensis を用いて各系統の繁殖干渉能力を測定しました。 また、繁殖干渉能力をオスとメスとで測定することで、集団ごとに繁殖干渉能力が相関するかどうかを確かめました。


Writing Flow

Rstudioを用いた論文執筆フロー Rで解析や作図したものを別ファイルとして保存しておき、LaTeXやwordを用いて文章を作成し、共著者とのメールなどをしながらgoogle driveやdropboxでバージョン管理をして…という流れがなんだか非効率的に思えていました。 どうにか一元管理できないかと探していたところ、Rstudio + gitで全て完結しそうだなと思い実際に手を動かしてみた記録です。 簡単に説明すると Rstudioでrticlesなどの便利packageを用いてRmarkdownを書き、それをgitで管理する という方法になります。 この記事の対象はRを用いて作図 -> 論文執筆をしてきた(これからする)くらいの方です。僕の知る進化・生態学系の研究者の方はRを使う機会が多いと思うので、そちら向けと言ってもいいかもしれません。 TOC 構成要素 ディレクトリの作成 Rmdの作成 gitでのバージョン管理 gitでの共同編集例 おわりに 構成要素 Rstudio Rユーザーにとっては言わずもがなであるIDE。普段使いしている方も多いと思います。 色々なnvimのプラグインを試した結果、Rmarkdownを書くのにはRstudioが一番適していたので論文執筆時にはお世話になっています。(普段の解析はnvimでやっている。) Rmarkdown Rでドキュメント生成するため、Rとmarkdownを組み合わせたもの。少しややこしいheader部分を除けばRのソースコードとmarkdown記法で全て書けるので非常に楽。 markdownのcheat sheatはここを参照。 閑話:Rmarkdownで執筆するメリット 主に文章、Rスクリプトがまとまっていることに由来する様々なメリットがあります。 再現性が担保される (例:コンパイルするごとに同じグラフを確実に描画できる)。 データが変わってもその都度グラフを書き直したり統計解析を行う必要がない(解析結果などを文中で利用できる形にしておけば)。 RとRstudio(どちらも無償)が入っていれば互換性が担保される。 bibファイルを利用できるため、引用文献管理が非常に楽。 反対にデメリットもちらほら Rmdのままでは(基本的には)英文校閲にかけられない。 論文投稿の際にwordファイルを要求される場合、pandocなどを使って一度.