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New Paper Is Out (2022/11/22)

論文紹介 論文が出ました! Title: Intraspecific variation of reproductive interference capability in Callosobruchus species Author: W. Mukaimine & Y. Toquenaga Journal: Evolutionary Ecology URL: https://link.springer.com/article/10.1007/s10682-022-10223-3 一文要約 マメゾウムシの多数の地理的系統を用いて繁殖干渉の個体レベルの競争係数(繁殖干渉能力)をオスとメスごとに計測し、繁殖干渉能力に種内差があることと同系統内の雌雄で相関しないことを明らかにしました。 概要 繁殖干渉は種間競争の一つと見なすことができますが、資源競争と異なり明らかになっていないことが多い現象でもあります。 明らかになっていることの一つに、個体レベルの繁殖干渉能力に対して集団の性淘汰が影響をもつことが知られています。 繁殖干渉とは直接関係しませんが、温度や性比などが異なる地理的に異なる集団では性淘汰の強度などが異なることも報告されています。 上の二つの先行研究からは地理的に異なる集団では繁殖干渉能力が異なることが予想されます。 そこで本研究では世界各地で採集されてきたマメゾウムシ類 Callosobruchus maculatus と C. chinensis を用いて各系統の繁殖干渉能力を測定しました。 また、繁殖干渉能力をオスとメスとで測定することで、集団ごとに繁殖干渉能力が相関するかどうかを確かめました。


New Paper Is Out (2022/1/27)

共著論文が出ました! Title: Prey–predator interactions and body size relationships between annual cicadas and spiders in Japan Author: Y. Suzuki & W. Mukaimine Journal: Journal of Natural History URL: https://www.researchgate.net/publication/358165178_Prey-predator_interactions_and_body_size_relationships_between_annual_cicadas_and_spiders_in_Japan 一文要約 日本におけるセミとクモの被食捕食関係についてTwitterやGoogle画像検索を用いて集めたデータをもとに定性的に評価し、さらに餌-捕食者サイズ関係の解析を行いました。 裏話 セミの捕食者について調べていたときに、素数ゼミの捕食者相は詳細に調べられているのに対して、annual cicada(毎年出現するセミ: 日本のセミなど)についてはほとんど情報が出てこないことに興味を持ちました。 加えて、経験的にTwitterをはじめとするSNSで捕食シーンが撮影・投稿されていることにも気付きました。 その中でも多く目についた(網を張るという特性上目につきやすいということだろう)クモ-セミの被食捕食関係は調べられないかと思い、筆頭著者の鈴木さんに相談をしたのがことの発端です。 これをきっかけにRでScrapingができるらしいということで、その個人的な勉強もさせてもらいました(Rtweetの備忘録; RSelenium Memo)。 (なぜRなのか、についてはそのときの気分でしかないです。本当はもっと適したプログラミング言語があると思います。)


New Paper Is Out (2021/11/19)

論文紹介 論文が出ました! Title: Digging out intersexual and meteorological effects on cicada emergence using 10-year citizen monitoring Author: W. Mukaimine, K. Kawatsu, & Y. Toquenaga Journal: Ecological Entomology URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/een.13109 一文要約 自由研究で集めていたアブラゼミの日毎の羽化数データに対してEDMを適用することで、アブラゼミの日毎の羽化に対して影響を持つ要因を探りました。 概要 小学生 (2003年)から高校生の時 (2012年)に夏休みの自由研究として集めていたアブラゼミの抜け殻の数 (=羽化数)を用いて、Empirical Dynamic Modeling (EDM)を行い、羽化に対して因果を持つ要因を探りました。 その結果、他の昆虫と同じように気温や日照時間が影響するとともに、他の昆虫ではあまり知られていなかった降水量や湿度が羽化イベントに影響することがわかりました。 さらに、季節性を排除したEDMの結果からメスの羽化イベントがオスの日毎の羽化数に正の因果効果があり、反対にオスの羽化イベントがメスの羽化数に負の因果効果があることがわかりました。 これらの結果はセミの幼虫期のみを地下で過ごすという特異な生態や、雄性先熟という昆虫における一般的な現象 (オスがメスよりも先に出現する現象)の理論的予測と一致しています。 小学生から高校生の間の夏休みに自由研究を行う (行わせる?