New Paper Is Out (2022/11/22)

Nov 22, 2022

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論文紹介

論文が出ました!

一文要約

マメゾウムシの多数の地理的系統を用いて繁殖干渉の個体レベルの競争係数(繁殖干渉能力)をオスとメスごとに計測し、繁殖干渉能力に種内差があることと同系統内の雌雄で相関しないことを明らかにしました。

概要

繁殖干渉は種間競争の一つと見なすことができますが、資源競争と異なり明らかになっていないことが多い現象でもあります。 明らかになっていることの一つに、個体レベルの繁殖干渉能力に対して集団の性淘汰が影響をもつことが知られています。 繁殖干渉とは直接関係しませんが、温度や性比などが異なる地理的に異なる集団では性淘汰の強度などが異なることも報告されています。 上の二つの先行研究からは地理的に異なる集団では繁殖干渉能力が異なることが予想されます。 そこで本研究では世界各地で採集されてきたマメゾウムシ類 Callosobruchus maculatusC. chinensis を用いて各系統の繁殖干渉能力を測定しました。 また、繁殖干渉能力をオスとメスとで測定することで、集団ごとに繁殖干渉能力が相関するかどうかを確かめました。

その結果、どちらの種においても繁殖干渉能力にばらつきが認められ、地理的な集団間で繁殖干渉能力が異なることが明らかになりました。 また、集団ごとに繁殖干渉能力は雌雄で相関しなかったことから、性的対立で駆動される形質の進化のみが繁殖干渉能力を決定しているわけではないことが示されました。

この系統差を用いることで、繁殖干渉に影響を及ぼしている個体の形質に迫ることが可能になります。 また、外来種対策などの場では、ある集団での繁殖干渉試験の結果が全国で普遍的に生じるわけではない可能性についても提示できました。

裏話

卒業研究が大元になった論文です。 学部3年次に色々論文を読んでいたところ、アズキゾウムシ-ヨツモンマメゾウムシの繁殖干渉系に基本的にjC-hQという2系統だけが用いられていることに違和感を感じました。また、当時は繁殖干渉に影響を持つ形質の同定に興味を持っており、形質と繁殖干渉の比較をするためには繁殖干渉能力を複数系統で測定する必要があったため、これらのデータ取得に着手しました。

(最低) 20 replicates * 12 strains * 2 (実際には3) confinement treatments に、毎日5gの豆を計量して入れ、出した豆についている産卵数を(幼虫が羽化する前に)計数するというパワーワークでした。この実験の結果、首がおかしくなり、マメゾウアレルギー (職業病らしいです)になった思い入れのある研究です。

また、Rmarkdownで全てを書き切るということを初めてやりました。その勉強にもなりました。 この論文のRmdが欲しい方は個別にご連絡ください。

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